METEX P-10 改造記
2012.11.17
秋月電子で販売されている、テスター METEX の P-10 がRS232対応に改造
できることを知り、私もやってみました。
(1) ハード改造
テスターで使用しているLSIは、FS9721_LP3でした。
「P-10 RS232」 で検索すると色々出てきます。
先人(さん)は、こんなかんじで使っています。
(回路図が明らかに間違っているのもありました)
フォトカプラーは、PC817を使用1しているケースが多いようです。
R4の値は、さまざまでした。(1kΩ〜220Ω)
PC817 : 推奨動作電流(If)は、20mA(?)
順電圧(20mAで)1.2V
Rise Time 3ms(Vce=2V、Ic=2mA、Rl=200Ω)
Fall Time 4ms(Vce=2V、Ic=2mA、Rl=200Ω)
手元には フォトカプラー TLP596、TLP512 がありました。
TLP596: フォトMOS FETを使用しています。
PC817と性能は、同じ様にみえます。
推奨動作電流(If)は、15mA。
順電圧(10mAで)1.15V。
スイッチング時間(100%->10%,0%->90%) 2mS
TLP512:
受光側は、フォトダイオード+トランジスタ
推奨動作電流(If)は、16mA(?)
順電圧(16mAで)1.65V。 (大きい!)
伝送遅延時間(5V->1.5V、0V->1.5V) 0.8μS (速いです)
まずTLP596を使いバラックで組んでみました。
パソコンにはには、FT232RLで接続。
あっさり動いて、なーんだ て感じでしたが・・・・・。
実装は、生基板にフォトカプラーとSWを実装して、テスターの真ん中の床下に。
しかし、今ひとつ安定に、通信できません。 データが時々化けます。
又電池電圧低下時に、全く通信できない状態です。
色々調べた結果。
・PC817、TLP596 は、それほど高速には動かない。
・データスートのスピードを出すためには、発光側に電流(If)をかなり(15mA程度)流さないと、ダメ。
・テスター電池の電圧低下で、フォトカプラーのledの電流の低下が激しい。
・受光側も電流を流せば、感度(変換効率)が上がる。
改造して、動いた、完動した、感動した、と喜んでいて、いざロガーとして
使用し、テスターが動いている(電池が未だOK)うちに、通信でデータが化けて
記録されていない! という悲劇がおきることも考えられます。
WEB上で、電池電圧の低下での動作に触れていたのはありませんでした。
未だ試していないのか、PC817では、問題にならないのか。
・テスターは、2.4Vまで動作します。少なくとも、この電圧まで、余裕で通信が可能
である必要があります。
まずP-10を使用せず、フォトカプラ単独で試験しました。
P-10の代わりに、AVRマイコンからデータを出し、フォトカプラ単独で試験しました。
Attiny2323を使用した、p-10の代用ファーム (ボーレート別に、HEXファイルがあります。)
P-10とは、無関係のデータを出します。余裕がない場合、化けやすいデータです。
Teratermの16進表示で確認できます。
電源電圧を下げながら、とこまでデータが化けないか試験しました。
データが化けたら、R4を小さくして、結果を見ました。
ボーレートを上げて、どこまで余裕があるか調べました。
ロジアナの敷居電圧を変えて、データの変化を見れば、余裕がどの程度あるか分かります。
余裕が無い場合、敷居電圧を変えるとデータがコロコロ代わります。
発信器とオシロがあれば、伝送波形を見て、テストすることも可能と思います。
TLP596では、R4を小さくしても、芳しく無いので、TLP512に変えました。
バッファー追加 と フォトカプラーの変更
TLP512は、内蔵の発光ダイオードの順電圧が大きい(1.5V)ので、電池電圧に低下で電流の低下が
大きい。2.4Vで、okに成る電流では、新品の電池で、テスターのLSIが(電流流しすぎで)壊れる心配
もあるので TR1石で、バッファーを作り、これでフォトカプラーをドライブすることにしました。
結果は、劇的に改善
電圧2.1Vで、38400bpiの通信でもOKになりました。しかも電流は、それほど流さなくても。
まあ 38400bpiで動く必要はありませんが、4800bpiですら駄目だったのだから、
余裕たっぷりです。
最終回路です。
(注)TRのバッファは、TLP596でも効果はありましたが、電圧低下で通信不能に。
基板は改造で、少しごちゃごちゃに。 (この写真は、最終状態では、ありません) この後 R5、R6 を追加 |
||
薄くする為、基板に穴を開けて、部品を 落とし込んでいる。 |
||
SWを左にすると、RS232機能が動作します。 | ||
横から見ると、薄いのがわかります。 | ||
基板は、右端にサイズをあわせて、 ピッタリ入るようになっています。 ケースを閉める際は、基板の表面を 絶縁する必要があります。 ラップフィルムで、絶縁しました。 |
||
電池端子から、電源を取るのはまずいです。 電池が一晩で無くなります。 SWを通った後からとります。 赤線、黒線は、電子ブザーの配線。 |
||
テスターの側面に穴を開けて、ピンフレーム SWを出しています。 隙がピッタリしてないのは、ネジで止めていないから。 |
FT232RLを接続して、パソコンに 蓋は、目障りな 秋月の宣伝があるので、 紙やすりで削ってしまいました。 テープでマスクして削りました。 ヤスリが細かすぎたか、テカリが出て |
電池の消費
RL44の容量は、100mha程度だそうです。
P-10は改造前で、1.7mA消費しました。 改造後でも、殆ど増加していないはずです。
信号出力は、断続的ですから。
長時間の使用には、RL44のでは少なすぎるので、単4電池から供給しました。電池に、ケーブルを(禁断の)半田付けです。
ラップフィルムで絶縁して、右側の格納しました。
テスターリードは、収納していなかったので、不便は感じません。
(2) ソフトウエア
(1) PCソフト
先人が、便利なのを作ってくれています。
http://www.ts-software-jp.net/products/tsdmmview.html
パソコンを使ったロガー
http://www1.whi.m-net.ne.jp/ken-yama/ELEC/Wens20T.htm データフォーマットの説明が参考になる
(2) パソコン無しのデータロガー
実験基板でSDカードへ記録 | ||
LCD追加しました。 パソコンのモニターが全く必要なくなります。 それまでは、最初だけパソコンでモニターしていました。 |
||
P-10(モード)場合 最初の状態 fno=は、SDカードに記録する ファイル番号 |
||
6ch ADロガーの初期状態です。 fnoも表示されます。 |
||
P-10 の ログ中の状態 hh:mm:ss と 測定の値です。 |
||
6ch ADロガーは、5ch分表示されます。 |
web上で見つからなかったの、作ってみました。 SDカードに記録します。
以前6chのデータロガー(電圧のみ)に組み込みました。
今までの6chロガーの欠点は、そのまま受け継いでいます。
回路図
P-10データロガーへの切り替えは、PB0(14pin)をLレベルにして、起動することです。
P-10ロガー専用なら、PB0をGNDに接続するのが楽です。
LED表示は、未だ機能していません。
P-10のロガーだけなら、PC0〜PC5、21ピンの配線は、省略できます。
パソコンのモニター不要なら、PD2,PD3は、省略できます。
回路図 2012.11.19
1WLCDの出力追加しました
ファーム
・未だ細かい見直しをしていません。とりあえず、電圧、電流、抵抗値は、記録できています。
・ Ωは、@
で代用しています。 ( 12.7K@は、12.7KΩのこと)
ファーム 2012.11.21
・1WLCDの出力追加しました。(16x2のLCD)
・確認LEDの操作追加しました。
使用例
@)サーミスターの抵抗値の変化です。
指てつまんで温度を上げ、暫くして指を放しました。 温度により、抵抗値が変化しています。
A ニッケル水素電池の放電です
電圧がマイナスなのは、テスターリードの接続ミス。