トナー熱転写による基板の作成                    2009.11.6
                                                  改 
2010.6.3

    1作目、2作目です。 過程も色々かいてあります。

    うまく出来た3作目(説明がシンプル)は、ここ。

  (1) プリント基板作製

     トナー熱転写による基板を作ってみました。

     大まかな手順は
      @ レーザープリンタ(又はコピー機)で、基板パターンを印刷する。
      A アイロンで、生基板に転写する。
      B エッチングでプリント基板を作製する。

     参考サイト
       http://homepage3.nifty.com/bitmechakoubou/bit/copy/copy.htm
       http://yoshiokasyd.web.fc2.com/AVR/PCB2.htm
       http://elegan-konya.at.webry.info/200904/article_1.html

       熱転写 プリント基板        又は
       熱転写 プリント基板 トナー   で検索すると色々出てきます。

       ここを良く読めば、私のは不要な気がするが.......。


     メリットとして

       ・ 感光基板より、圧倒的にローコスト。又感光基板のような有効期限が存在しない。
       ・ エッチングより前工程なら、何度でもやり直しができる。
       ・ 専用のシート(結構高価)は、熱でパターンがつぶれ易いが、紙ではつぶれが殆ど無い。
         http://www.pcb-materials.com/?pid=654442


     (1) 準備 (主なもの)

         ・用紙 : FUJIFILM/画彩マット仕上げ(ファイングレード)用紙  ぶどうが目印
                誰かが、「トナー熱転写専用用紙として売っても良いのでは?」 と言っていた。
                (スーパーファイングレードは、不可 (りんごはダメ))
         ・ラッカー薄め液   (スチールウールで代用可)
         ・エッチング液(塩化第二鉄溶液)  画材屋の腐食液が代用になる。

        その他
         ・家庭用アイロン
         ・プリンタ(インクジェット iP4100)


     (2) 手順
          
         @ 版下
             レーザープリンタが家に無いので、一旦インクジェットプリンタ(Canon iP4100)
             でFUJIFILM/画彩マット仕上げ(ファイングレード)用紙に印刷する。
             インクは顔料インクタンクに無理やり入れた染料インクで印刷。
             指定は、「スパーファイン用紙」 「きれい」 「グレースケール印刷」。
             FUJIFILM/画彩マット仕上げ」は、とても綺麗に印刷できる。
             黒に白いスポットが出るのはダメ。 普通紙では、綺麗に印刷できない。

             これを近所のスーパーのコピー機でコピーした。(KONICA MINOLTA Di 2510)
             用紙は、やはり「FUJIFILM/画彩マット仕上げ」を持ち込み。
             用紙は実験した数人の先人によれば、これ以外選択肢は、なし。
                        

         A 生基板の銅箔を台所にあるフォーミング(クレンザー)と食器洗い洗剤を混ぜてで磨く。

         B パターンを銅箔に合わせて、アイロンで熱転写する。
           温度は、160℃が良いらしい。 ダイアルをコットン(綿)に。     
           私は、最高温度(麻)で。   ( (注)この温度は高すぎた。 )
           体重をかけて丁寧に。
           温度が適温なら、爪で引っかいても取れないそうだ。
           
         C 十分水で濡らして、紙をはがす。残った紙繊維を指の腹でこすりながら、剥がす。

         D エッチング液でエッチング
            エッチング液をジフロックに入れ、で湯煎しながらモミモミ。
            残液は、決して排水として流してはいけません。

         E エッチッグで残ったトナーをラッカー薄め液で剥がす。 ティッシュに含ませて、ゴシゴシ。
            銅箔をクレンザーで磨き、基板用フラックスで坊錆。
            即、穴を開ける場合は穴あけ後、銅箔をクレンザーで磨き、基板用フラックスで坊錆した方が良い。
            穴空けで銅が削れ、そこが腐食すると、半田が載らない。

      (3) 【結果】

          ・ 自己採点 55点
             満足度30%。
             パターンが美しくない。
             電気的(電気が繋がると言う意味)には、問題ないと思う。

          ・先人に従わなかった点
            紙を剥がす最、濡らした後、タオルを当ててアイロンで蒸す。
            プラスチックけしゴムを使い、濡れた状態で、繊維を落とす
    
          ・ 反省点
             パターン間は、必要なければあまり狭く無い方がよい。ここの繊維を落とそうとこすっているうちに
             トナーまで剥げたようだ。
             プラスチックけしゴムを使い、濡れた状態で、繊維を落とす方法をしなかった。(これが最大の失敗か?)
             紙繊維の除去が、不十分でパターン間のエッチングが一部進まず、
             エッチングに時間をかけたためパターンにスポットが沢山出来た。
             紙繊維が残り一部のエッチングが進まない部分がある場合、諦めてエッチングを切り上げ後からそこを
             削ったほうが良かった。 エッチングに時間をかけると、全体が汚くなる。
 
             次回は、紙繊維を取る方法として、爪楊枝でパターン間をなぞる方法を試してみたい。
                

 コピー機でコピーしたパターン。

 上記の紙を「持ち込み」でコピー。
 用紙持込禁止とは書いてなっかた。

 「濃く」4回押したのは、失敗だった。
 パタンーン間に、黒のスポットが沢山。
 しかし決行。

   
アイロンで転写した状態    
濡らして、紙をはがした。

きれいにしたつもりが、乾くと繊維が現われて、

ガッカリ。

   
パターン間に紙繊維が残っている    
拡大するとこんな感じ。

繊維が残っていると、エッチングが進まない。

この後、繊維を大分取り除いた。

   
エッチング完了    
上の拡大写真。
虫食い状態が、分かる。
   
ラッカー薄め液でトナーを落とす。

磨いた後、フラックスを塗る。

   
穴を開けました。 主に0.7mmと1mm。

再度クレンザーで磨きなおしたら、大分綺麗になりました。

でも小さい穴にクレンザーが詰まって、困りました。

一部分拡大

写真で、あばたが見難いですが、結構あります。

クレンザー(フォーミング)では、やはり傷が付きますね。
   
   

                                  
   (4) 再度実験

      トナーが剥がれ、基板が汚くなるのを防ぐための、実験しました。

      ・ 最初に無水アルコールで、基板に貼り付ける。(よく張り付く?)
      ・ アイロンで圧着後、濡らした布でジュッと蒸す。(紙が剥がれやすくなる?)
      ・ 紙を剥がし、濡れた状態で消しゴムでこすり、紙繊維を除去する。

      効果は、認められませんでした。 
      トナーは、爪で引っかいても殆ど取れません。 トナーの張り付きは、問題なし。
      しかし、パターンの繊維取るため、指の腹や、消しゴムでこすると、トナーが剥がれてきます。

      私の結論としては、KONICA MINOLTA Di 2510では、トナーが薄いのではないかと思います。
      でもコピー時に濃くすると、パターン間に トナーのスポットが沢山出てしまいます。

      あと一点、あまり圧力かけずアイロン掛けする方法をためしてみたい。
      (圧力で繊維の中にトナーが入り込んでしまうのを防げるかも)
   

  (5) 爪楊枝作戦

     紙を剥がすとき、極力擦らず爪楊枝でパターン間を擦り、紙繊維を取り除く方法試しました。

     手間が掛かりましたが、結果は良好です。ベタの部分、パターンの部分も殆ど無傷です。

     触らなければ、トナーは取れないので、当たり前といは当たり前ですが。
  
     パターン間はとても綺麗になりました。


            
            トナーの部分は、真っ白。


            エッチング、穴あけしました。

           

          一作目よりかなり綺麗です。 一部あばたがあります。      ベタの部分は、一作目よりずっと綺麗です。
          傷に見えるのは、フラックスの斑です。


     @やり方として

        紙繊維の剥がし方

        ・ 十分水をつけてはがす時に、指の腹で大まかに剥がす。 そっとこするだけ。
        ・ この状態で、基板全体に用紙の薄皮と繊維が張り付いている。
        ・ 爪楊枝でトナーが付いていない所を擦り、繊維を取り除いてゆく。(濡れた状態で)
        ・ ランド(穴)の部分を爪楊枝で丁寧に取り除く。
        ・ トナー上の繊維は、なるべく残すように。     
        ・ 乾くと、繊維の有無が良く分かります。
        ・ 不十分な部分は、爪楊枝に水をつけて綺麗にします。
      
        エッチングしました。 パターン間を、十分綺麗にしたのでエッチングの遅れはありません。
        残念ながらわずかではありますが、あばた(えくぼ?)が出来ました。 でも前回よりずっと綺麗。

        qcamftのXYステージでは、これで十分だ。 

     A しかし!
       パターン0.25mmの場合うまく行くだろうか?
       消しゴムだけで綺麗に取れる人、羨ましい。
       爪楊枝ではなく、針でどうだろう。 

     B 鉄砲串(竹製)で

          

       針はダメですね。 すべりが悪い。
       鉄砲串の先を平らに削り(表皮を残す)パターンの紙繊維を除きました。(真中0.25mmと、右側0.3mm)
       とても時間がかかり、どうしても、パターン(トナー)を削ってしまいます。
       左は消しゴムで(一晩おかずに)こすったものです。
       
      


       0.65mmピッチのパーツ実装してみました。ピッチが少しずれますが。
       0.5mmピッチ(右側)のパターンも実用になると思います。
   
  
  
C 消しゴムで

        アイロン転写後、水で濡らし紙を剥がすと薄皮が残ります。
        この状態で、一晩水につけたままにして、消しゴムで擦ったものです。
        トナーのダメージは、あまり認められません。 0.25mmのパターン、バッチリです。
        コピー機でのコピーですので、線は少しギザギザですが綺麗にトナーが残ります。

        その後のテスト
        残った繊維(薄皮)の取れやすさは、アイロンで転写した時点(アイロン温度、圧力、とプレス時間)温度で決まるようです。
        取れにくい場合は、一晩水に漬けても変わりません。
        取れやすい場合は、水にぬらしてすぐ擦っても取れます。
        一晩水に漬ける方法は、無意味です。

        
       
       線幅   左から 
          0.2mm   0.25mm   0.3mm

       パターン間隔 左から 

          0.4mm   0.5mm   0.6mm

       いちばん左は少し怪しいですが、真中、右は、十分使えます。


(6)  その後の実験で分かったこと   (2010.6.3  追記)

     トナーが薄いコピー機や印刷機は、アイロン温度と時間に出来栄えが大きく影響を受けるようです。(ストライクゾーンが狭い)
     トナーが厚いコピー機や印刷機はストライクゾーンが広く、いい加減にやっても大きな失敗がない印象です。

     トナーの成分は、カーボン粉末と樹脂などで構成されているようです。
     熱を加えると、樹脂が溶けてカーボンどうしが固着します。
     アイロンの温度が高いと、トナーが再度解けて紙繊維に入り込んでしまいます。
     この場合、紙繊維を指先(消しゴム)で除去すると、紙繊維と一緒にトナーまではがれてしまいます。
     トナーが薄いコピー機(印刷)の場合、これが顕著です。
     
     プレス時に温度が高くプレス時間が長いと、樹脂成分が変質(可塑性分が蒸発?)し、もろくなるようです。
     この場合は、プラスチック消しゴムで擦ると、消しゴムカスが黒くなります。これはトナーがはがれた証拠です。

     プレスの温度が低い場合、プラスチック消しゴムで擦った際、消しゴムカスは、あまり黒くなりません。     
     ただし、温度が低い場合、パターンが大きく欠けるようにはがれる傾向にあります。

(7) アイロン

    @ アイロンで、古いものは温度センサーの反応が鈍く(バイメタルか?) トナーの転写にばらつきが激しく、使いものに
       ならなかった。

    A アイロン底は、平らな方が良い。 スチームアイロンの溝がある場合は、同じ場所でプレスしていると、転写が不十分に
       なることがある。

    B 基板より転写する画版が小さい場合、基板の端でアイロンの底にキズが付くので、注意。
       このような場合、紙を間1枚あてればアイロンの底にキズが付かない。

    C 小さな基板を転写する場合、アイロンの圧力が均等にかかっているかの感覚が無くなり、失敗しやすい。
       小型のアイロンを使用した方が、この感覚が得やすい。

       普通サイズのアイロンで小型の基板を転写する場合は、転写前に生基板を切断せず、転写した後に基板を切断すればよい。

(8)  細かいこと

    (6)、(7) で細かいことを書いたがXYステージの基板の場合、パターンが精密でないから神経質になる必要はない。
    よほど出来が悪くない限り、回路が動作しないことは、ないはず。
    ただし、パターンの紙繊維の除去十分除去すること。ルーぺでチェックする。
    明るい窓側で銅箔を反射させると、繊維の有無が良く分かる。
  
    エッチング途中で一旦溶液から引き上げると、エッチングが部分的に進んでいない場所が分かる。
    銅の色が光っているからだ。この場合、一旦水洗いしてその部分の紙繊維を除去し、再度エッチングすると良い。   


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